薬草の聖地 伊吹山のヨモギ

自然のめぐみでつくる

滋賀県最高峰の伊吹山は、『古事記』や『日本書紀』に登場する山で、役行者が修行をしたといわれる修験道の山でもあり、なんといっても薬草の聖地であります。
植生に惹かれた織田信長は、伊吹山に薬草園をひらきました。まさに風土が育むゆたかさです。

「伊吹山は、古来から薬草の宝庫として知られ、平安時代には宮中へ献上(延喜式巻37)されていました」
米原市伊吹薬草の里文化センターのウェブサイトより)

「日本の植物学の父と呼ばれた富太郎は、十九歳で初めて伊吹山を探査して以来、希有な植物の豊かさに魅了され取り憑かれました。「伊吹山ほど面白い山、楽しい山はない」と常々もらしていたと言われています。」
「牧野富太郎と伊吹山のお話し」筒井杏正 より抜粋)

伊吹山系西麓奥にある、甲津原。
甲津原に自生するヨモギを摘んでいると、野性的で力づよいかおりがひろがります。
葉や茎に、白い絹毛がふさふさ生えていてたまらないのですが、甲津原では、7〜80年前にモグサの原料として摘まれていました。

甲津原のヨモギをつかった、甲津原漬物加工部のお母さんたち手づくり「ヨモギ餅」は絶品です。
そしてお店の名前にもなっている、自然の恵みをたっぷりいただける 山の薬膳ごはん よもぎ があります。

甲津原アーカイ部のメンバーでもある、よもぎの上野さんにお聞きすると、
「漢方では、よもぎ茶は身体を温め、血の巡りを良くし、整腸作用があり、とくに女性にはぴったりです。よもぎ湯につかると、腰痛や肩こりに効き、生葉をすりつぶした汁は血止め薬として、すり傷や火傷に効きます。燻した香りや煙は感染予防効果もあり、古来から身近にある万能薬でハーブの王さまです。」
と教えてくれました。

今でこそ、坑ウィルス、抗菌、抗癌作用があると言われますが、ずっとずっと昔から、暮らしに寄り添う常備薬、自然療法として、効能が実感できていたからこそですね。

奥伊吹に住んで2年の私も、今では毎日、昨年摘んだヨモギをお茶にして飲んでいます。
摘みたてのヨモギはまさに今が最高で、ヨモギパンを焼いたり、白玉にしたり、天ぷらも美味しい。
今年は刻んで生地にねりこみ包子(肉まん)、ペーストにして花巻に挑戦してみました。

ヨモギパン

ヨモギ白玉

ヨモギをねりこんだ生地に小豆とイタドリのジャムで花巻に

ヨモギ花巻の蒸しあがり

刻んだヨモギをねりこんだ包子(肉あん)カキドオシでかざりつけ

ヨモギ包子

また、ヨモギの学名はアルテミシア属(Artemisia princeps Pamp.)で、アルテミシアとは、ギリシャ神話の狩猟と月の女神アルテミス(古くは山野の守護神、多産・豊穣の神ともされる)に由来するそうです。

この里山に自生するヨモギにとって、なんてぴったりな由来!と思いました。

そして最近、目にとまった記事をご紹介。
「マダガスカルの大統領が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に効果があるとして、抗マラリア作用が確認されているヨモギ属の植物や、その他の在来種のハーブからつくられた「コビッド・オーガニクス」と呼ばれる薬草茶を飲むことを推奨している。」(5月8日 AFPより)

古代から世界中でひろく食され、薬草、自然療法としてもちいられてきたヨモギ。
足もとの恵みにあらためて感謝します。

コメント

  1. iso より:

    昔はよく目にしたヨモギ、こんなに身体に良いものとは知りませんでした。
    街中ではなかなか目につきにくくなりましたね。
    餡の入ったよもぎ餅は、大好きですが。
    たまちゃんのよもぎパンも、美味しかったです。

    初めて、肉野菜炒めに、山椒の葉を最後に入れて作りました。
    臭みがなく、かえって山椒の微かな香りが美味しさを引き出していました。
    葉の違和感もありませんでした。

    自然の恵みで、人々は身体を守ってきたのですね。