200年以上つづく「どちんかん」

日々

先祖代々続く甲津原の「どちんかん」

どちんかんとは、集落の子どもたちが天満神社に集まり、鳴り物をならし奉納する神事です。
甲津原の行事のうち、法要や神事、お祭りのときに演奏されます。

どちんかん?
2年半前、はじめて声をかけていただたとき、よくわからないまま子たちを連れて、神社へ向かいました。

鳴り物

太鼓(ドン)と、鉦(チンカン)です。
どちんかんという名前は、まさに鳴り物の音そのものですね。

宮役の役員さんが準備をしてくださり、上級生の子たちはずっしり重い大きな太鼓を、下の子たちは鉦を持ちます。
決まったリズムがあって、少し練習したらスタート。

トン トントトトントン トトトントン

境内から、拝殿に向かって右方向へ外に出ます。
ぐるりとまわり正面へ、鳥居をくぐってもどってきます。
そして、拝殿と本殿に灯籠を吊し、灯明をともします。
(現在は電気の明かりを点灯します)

集落には現在、小学生以下の子どもが12人います。
子どもが増えて楽器が足りなくなり、集落の方が自作してくださったありがたい鳴り物もあります。


9月のどちんかんは、秋葉神社まで鳴り物を鳴らして歩きます。
集落のなかを通り火除の神様である秋葉神社へ、奉納して神社へもどると、陽が暮れて真っ暗です。

昔は横笛も奏されており、集落の長老、高橋大吉さんの祖父は笛の名手だったそうです。
当時つかわれていた笛は、今でも家に2本残されているそうです。

どちんかんの日程

・8月14~16日(お盆法要、盆踊り)
・9月1日~3日(野神祭・八朔休み)
・10月8日(秋葉神社祭)、9日(バイモリ休み)

夏から秋の夕方、合計8日間おこなわれます。
*カッコ内は甲津原の行事ですが、盆踊りは現在行われていません

暮らしの変化

昔は春から秋は田畑と炭焼き、家畜のお世話、お料理やお風呂に火をおこし、朝から晩まで休む間もなく、忙しすぎる日々でした。

お休みの日にお参りしていただくということで、束の間の休息に、お寺の法要や神事、お祭りなどをされていましたが、今は仕事の形態も生活習慣もすっかり変わってしまいました。

けれど、どちんかんは途切れなく続いてきた風習で、昔の暮らしや暦を思い返させてくれます。
今後も大切に伝承できたらなよいなと思います。

天満神社の境内にはスギやケヤキの大木が立ちならびます。
集落を見守り続けてきた木々は、きっとなんでも知っているのでしょうね。

○どちんかんはもともとは若い衆(*)が担当しており、女人禁制でした。
若い衆はのちに青年団となり、青年団の解散後は子ども会が引き継ぎ、子どもが減ったので組ごとに担当することになり、今は再び子どもたちがおこなうことになったそうです。
*今の中学生~26才の男性、昭和50年頃に若い衆は青年団へ改組された。

○現在は、神事オコナイのときも、神事のはじまり、お餅をつくときなど、鳴り物を鳴らしながらおこなわれます。

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