今回のグリーンウッドワークは、かなり素材そのものではありますが、サクラの枝でお箸置きをつくりながら、サクラの木について考えてみました。
甲津原の薬膳料理、山の薬膳ごはん よもぎ、店主の上野さんからお箸置きのご注文をいただきました。
お店では、以前から木の枝を加工したお箸置きをつかわれていましたが、数が減ってしまったそうです。
上野さんがつくる体に優しいお料理にさりげなく合う、そんなお箸置きに仕上げました。
まず、適度な太さのサクラの枝を切ります。
下部を決めて、安定するように下を少し削り落とします。
でこぼこした部分は少し磨いて、手触りをよくしました。
最後はクルミオイルをさっとぬって完成です。
サクラの樹皮をあらためて観察していると、とても複雑な色味があります。
一本の枝にもいろんな表情があり、魅力的な素材です。
サクラといえば、青空に映える花の色、日本を代表する花のひとつという印象があります。
春がくると、桜前線が日々のニュースになり、お花見や入学式のようなハレの場、おめでたい雰囲気を感じます。
一方で、坂口安吾の小説『桜の森の満開の下』に描かれるサクラは、狂気をはらんだ印象があります。
儚いものは美しい、あでやかさのなかにある怖さ。
どこにでも生えていて、誰もが知っている木で、ここまでいろいろなイメージをもった木は、他にはあまりないかもしれない。
サクラの枝を加工しながら、ふとそんなことを考えました。
ちなみに、京都に住んでいたころは、平野神社でのお花見が毎年恒例でした。
夜になるとずらりと提灯が灯り、満開の桜の下、桜茶屋のお座敷がにぎやかです。
とても風情がありおすすめですが、昨年の台風で、かなり倒木などの被害があったようで、心配です。
みなさんもサクラのお箸置きをつかってみませんか。
それでは、次回のグリーンウッドワークをお楽しみに!
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