姉池、妹池、もぎたてクロモジティー

日々

姉池・妹池の言い伝え

以前にご紹介した昔ばなし『いろりばた』の一編、「姉池・妹池」は、仲の良い姉妹の悲しい恋のお話しでした。

そのほかにも言い伝えがあります。

姉池、妹池は村と村の境にある山の上にくっついてあった。
姉池から甲津原へ流れてきた水は姉川となり、妹池から浅井側へ流れた水は妹川(現在の草野川の別名)になった、というお話もお聞きしました。

なんと!
幼少の頃によく見ていた「まんが日本昔ばなし」にも、内容や川は違いますが「姉川と妹川」というお話がありました。

もちろんどれも言い伝えですが、大昔になにかしらの要因があって、語り継がれてきたお話と想像するのも楽しいです。
今回のお話の関連地図(Google マップより作成)

池を目指して探検

そんな話をしていたら、集落のSさんが「今でも山の上に池があるよ」と教えてくれました。
「姉池?妹池?とにかく行ってみたい!」
1年以上ずっと思いつづけ、ついに機は熟しました。

山といってもルートがあるわけではなく、普段はだれも登らないところで、昔は年に一度、青年会で草を刈りながら登ったそうです。

けれど、今回は青年会のみなさんが通っていたルートではない、
「別のルートから枝を払いながら行くぞ」ということで、池までSさんが案内してくれることになりました。

池を目指すといえば、若いころに読んだ『白頭山の青春』(著者:梅棹忠夫、藤田和夫)。
道なき道を藪こぎし、地理上の空白地帯を進み、頂上の池を目指す…

すっかり探検気分で、6月の梅雨の合間の快晴、お弁当を持参して集まりました。
Sさん「2〜3時間あれば着くだろう」、スーパー生木ラボ鈴木さんよもぎの上野さんも一緒に出発!

池までの道のり

まず姉川を渡ります。
渡ったところには、石垣が積まれた昔の田んぼが残っていました。

そこをぬけると、間伐された植林地帯がひろがり、そこから先はひたすらずっと雑木林がつづきます。
はっきりとしたルートがあるわけではありませんが、人が手を入れていたと感じられる山、踏み跡もあり、歩ける雑木林でした。

前を歩くSさんと鈴木さんが、のびた枝をずっと伐りながら歩き、時折グーグルマップで位置確認をしてくれたおかげで、藪こぎも、なにもしなくても、大きく迷うことなく歩けました(少し残念)。

最初からずっと登りが続き、少し息があがりましたが、休憩をたっぷりとって、のんびり植生など観察しながら歩きました。(樹種は最後にまとめています)
雪の重みで根元が曲がっている木が多く、「根曲り」と言うそうです。


途中途中、木々の間から甲津原の集落やスキー場のゲレンデまで、きれいに見えました。

9時半に出発し、途中マムシに遭遇、12時前に池手前の分岐に出ると、登ってきた道と垂直に登山道があり、「←夜叉ヶ妹池」と看板がかかっていました。

どうやら池の名前は「夜叉ヶ妹池」、おとなり岐阜県揖斐川町から登れる有名な「夜叉ヶ池」の妹、ということでしょうか?

反対側は「→カナ山」、ひとまずカナ山の頂上まで行くと標高は986m、甲津原は520mなので、わりと登りました。

そして夜叉ヶ妹池方向へ。
池が見当たらず、最後に少し迷いつつも無事に発見!
これか〜と感動しました。
のんびり歩いて少し迷って、2時間半かかりました。

池ランチとクロモジティーセレモニー

池というより、泥が深そうな湿地帯で、多様な生物がいそうと感じさせる存在感。
木々にはとても大きい白い泡の塊が!
モリアオガエルの卵があちこちの木についていました。

昼食をとり、道中で摘んだクロモジの葉を煮出してティーセレモニーです。

クロモジはお茶にするとさわやかで美味しく、リラックス効果があり、胃腸を整えたり、抗菌、消炎作用があると言われています。
また、枝葉をお風呂に入れると腰痛、関節痛、肩こりなどによいそうで、下山後の入浴剤にぴったりです!

お茶を飲みながら『いろりばた』の「姉池、妹池」を朗読させていただきました…
お話にでてきた赤いお花、フシグロセンノウは秋に咲くのでしょうか。
シロモジが多かったので紅葉はきれいでしょうね。

そして、来た道を少し迷いつつ、無事に下山しました。
今回のルートはハイキングにおすすめです。

やかんの中はクロモジ、下にしいてあるのはシロモジの葉

生えていた樹種

ソヨゴ、シロモジが多く、他には、クロモジ、スギ、ホオノキ、ユズリハ、コナラ、ミズナラ、ミヤマザクラ、リョウブ、ヒノキ、ヤブツバキ、アカマツ、ハウチワカエデ、イロハモミジ、コシアブラ、タカノツメ、ヤマハンノキ、ナナカマド
(鈴木さん観察結果)

山道のネットワーク

このあたりは独立峰ではなく、連峰になっています。
夜叉ヶ妹池からそのまま尾根道を南へ歩くと、山岳寺院のあった天吉寺山大吉寺跡、七曲峠へと続きます。
天吉寺月の坊ご住職が、夜叉ヶ姉池で雨乞いをしたとかなんとか…
尾根道を歩いて来られたんですね。

隣村は近かった

現在は長浜市と米原市にわかれていますが、もともとは同じ滋賀県東浅井郡、東草野村と上草野村です。

甲津原のおじいさんたちは、昔、東草野村(現在の長浜市鍜治屋町)へ炭を売りに行くため、甲津原から姉川を川下へ、険しい峠(現在の堂屋敷トンネル〜姉川ダムあたり)を越え、3つ先にある集落、吉槻から「七曲峠」を越えていました。

鍜治屋町へ行くには、七曲峠が便利かと思いますが、甲津原から山を登り体で感じたことは、隣村は近いなあということです。

大昔は尾根道や峠、山の中に辻がもっとたくさんあった(はず)と想像はふくらみます。

夜叉ヶ池シリーズ(福井・岐阜・滋賀)

家にもどり、YAMAPhttps://yamap.com/のサイトで検索したら、数名、夜叉ヶ妹池への登山記録がありました。

反対側から(長浜市)登られている方もわりといて、さらに「夜叉ヶ池シリーズ」をまわられている方がいらっしゃいました。
スーパー生木ラボさんが連続ワークショップをひらいている長浜市金居原にも「金居原夜叉ヶ池、妹池」があるそうで、行ってみたいです。

本家?
泉鏡花の戯曲にもなった『夜叉ヶ池』にもぜひ足を運ぼうと思います。
いくつかの説がある姉池、妹池、姉川、妹川、とてもおもしろいです。

コメント

  1. iso より:

    姉川の戦いとかで有名な姉川!!
    姉池から流れ出てその名がついたとは、なんとも興味深いですね~。
    看板が残っているところを見ると、以前は訪れた人が多かったんでしょうか。
    木の種類の多さにビックリです。

    • 甲津原交流センター kozuhara2018 より:

      ありがとうございます!カナ山は、山好きの方に近くの山と合わせて今でもわりと登られているみたいです。