多賀町と甲津原〜YOBISHIの展示から

日々

ウェブで地域の発信していると、似たような活動をされているウェブサイトが目にとまり、参考になります。
最近、インスタグラムで目にしたYOBISHI(*)というプロジェクトが、「たがのたべるをつなぐ」という展示を企画されていたので、米原市のとなりのとなり、多賀町まで行ってきました。

YOBISHIプロジェクトはおもにインスタグラムで(@yobishitaga)で、
多賀町の食にかかわる写真、ワークショップの記録などを発信されています。

一枚一枚、丁寧に撮られた写真は、風土や営みを感じる貴重な記録ですね。

展示内容

まずは友人おすすめの多賀そばをいただき、お腹を満たしてあけぼのパーク多賀へ。
展示スペースは大きくありませんが、多賀町の郷土料理や伝統野菜、豊かな食文化を受け継ぐ活動が紹介されていました。

食べものすごろく、子ども用クッキングスペース、ごちそうの写真パズル(ここまで子どもたち大喜び)、
と展示も工夫されていて、美味しそう〜な写真パネル、映像記録もありました。

映像で「ふなやき」(クレープのようなお菓子)の実演をされていたおばあさん、
昔の食生活、自給自足を語られており、ふなやきにつかう小麦や菜種油、ハチミツも自家栽培されていたそうです。
それしかない時代ですが、なにせ豊かすぎて驚きます。

地域の数だけやりかたがある

多賀の伝統野菜は、多賀ニンジン、桃原ごぼうがあるようです。
発酵食はハス寿司、豆もいろんな種類を栽培されていそうです。
甲津原でもとれる同じ山菜でも調理が違っていたりと、地域の数だけやりかたがあるのだなあと、こういった気づきのある展示は楽しいです。
イタドリのぬか漬け、ヤブカンゾウの花酢漬けはつくりたくなりました。

多賀と甲津原の似たところ

在来種のそば(多賀そば、伊吹そば)を栽培している
*多賀そばガレットのレシピも置いてありました
ワラビ、コゴミ、タケノコ、フキ、山椒、ミョウガなど、季節ごとの豊かな自然の恵み
カヤの実、クルミなどの木の実
琵琶湖の水源地域 芹川(多賀町)姉川(甲津原)


ちなみにキッチンは、多賀ではおくどさんがつかわれていましたが、甲津原は囲炉裏ひとつです。

活動をまとめた素敵な本『多賀の食べるとつなぐ』も置いてありました。
つくりたくなるレシピの紹介、楽しく読ませて魅せるレイアウト、郷土料理好きにはたまらない一冊!
非売品で残念でした。

どんどん薄まる「昔ながら」

昔は自給自足しかありませんでした。
生きてゆくために、山と川から自然の恵み、家々でつくる穀物や野菜をいただき、保存するのが当たり前の暮らし。
甲津原では現在でも、一部のおばあさんはワラビを乾燥させていたり、トチ餅をつくられていますが、
昔ながらの暮らしの習慣が根づいている人は、今後さらに減ってゆきます。
ときとともに暮らしは変わる、ということを受けとめ、できることは大切にし、受け継ぐことしかできないと感じています。

そのなかでも、お料理では新たな活用が楽しめます。
山菜はピクルスにすると美味しいですし、コゴミはくせがなくてとても美味しいので、ニンニクをきかせてペペロンチーノにしたり、タイ風オムレツにアレンジしてチリソースをかけたり、チーズともよくあいます。

ふるさとのあじ

そもそも、家庭の味や郷土食ってなに?
2019年に奥伊吹ふるさと伝承館で開催した「たまちゃんのよもぎパン」展(総合地球環境学研究所との共催)で考えた「食の記憶」について、あらためて感じるところでした。
○レポートはこちら→

(*)YOBISHIのインスタグラムより
「よびし(よびしゅう、呼び衆)」とは、正月や盆、祭などに、親戚や近所の人を招き(よび)おもてなしをする滋賀県湖東地域の方言です。
滋賀県から「食」を通して地域の魅力を伝える活動を 料理開拓人堀田裕介さんをアドバイザーに迎えて、地域住民や行政職員が集い、いろいろなカタチで発信しています。
地域に伝わる食文化の情報を集め、記録しつつ、字ごと家ごとに行事の際にふるまわれていた「よびしの食」など、継承してきた世代が高齢になった昨今、若い世代にも知ってもらえるように、手軽で簡単に作れる方法を提案することにも取り組んでいます。
また、地域文化を見直すきっかけを育てたい思いから、料理教室やマルシェ、映画会上映会など、楽しみながら学べる場を提案しています。

コメント

  1. スー より:

    写真がきれいな展示で、実際の料理を食べてみたいなと思いました。米原でもこうした展示があるといいですね。